らんちゅうブログ
2015年7月10日 金曜日
奇跡の産卵
今年の産卵で狙っていた本命雌魚は二匹いました。
一匹は自家産の三歳魚。
今年の姿です。
当歳時の画像が残っていました。
当歳時(一昨年秋)の姿です。
今は当歳時より肉瘤も発達して色も揚がっていますが、少し尾張りが弱くなりました。
実はこの魚はどうしても残したい系統だったので3月初旬から幾度も採卵にチャレンジしました。
しかしかなりの問題児でした。
少し脱腸がありそのせいかどうか分かりませんが、産卵が始まっても人工授精が出来ません。
お腹を押しても卵が出ないのです。
必然的に自然産卵になりますが、何故かこの魚は産卵藻での産卵を嫌います。
そして雄達も何故かこの雌を追いません。
結果的に3回産卵しましたが、すべて失敗しました。
一回目は早朝から昼まで産卵を待ったにも関わらずに昼から何の前触れもなく無精卵を産み落としていました。
二回目は早朝に産卵中なのを確認し人工授精を試みましたが、腹を押しても卵が出ずに自然産卵にまかせました。
結果として受精率はすこぶる悪く1割程度でした。
そのまま居引きにしましたが、孵化して泳ぎだした日が異常に暑い日になり昼には生きている稚魚の姿はなくなっていました。
居引きの時には産卵舟にすぐにバイオバクテリアABを投入します。
すると孵化する頃には結構水が出来上がっている事が多いのですが、今回は違いました。
この雌の性格上雄をたくさん使う必要があり産卵までに大量の糞が残ってしまった事。
無精卵の数が多すぎた事。
異常気象で異常な高水温に鳴った事で一気に水質が悪化したのだと思います。
あらためて居引きの怖さを知りました。
最後の産卵は5月19日ですが、結果的にこの魚から採りたい!という思いが奇跡に繋がりました。
もう一匹の本命魚は以前の記事で紹介した魚です。
この魚ですが、この魚が特に種魚として良いと思っている訳ではありません。
ただこれまでにこの系統の魚から仔引きが出来ていなかったので今回は是非採りたかった魚です。
産まれてくる魚がどんな成長の仕方をするのか?どんな魚になるのか?
それを体感したいから採りたいのです!
3月下旬の大潮でこの魚を含めた4匹が産卵しましたが全ての稚魚の尾が開きませんでした。
散々な結果です。
オス達がそろって悪かったのか?
季節が悪かったのか?
もう一度チャレンジ!と4月16日に雄と合わせましたが、翌日その舟の魚達は体調を崩していました。
寒冷紗か産卵藻のゆすぎ方が甘かったのか?
二週間もの間死の淵をさまよっていました。
回復した頃にはやせ細ってお腹もカチカチでした。
これでこの魚の今年の産卵は不可能だと思いました。
ゴールデンウイークの採卵予定魚は本命魚以外の雌達になりましたが、すでに背水の陣です。
1号とHONOさんから頂いた魚以外に我が家には当歳魚がいないのです。
3月下旬の二の舞をしてはならない。
雄、雄、雄、オスー!
頭にこぶなんて無くていい。ただ尾張りが良ければいい!
そこで捻り出した答えが・・・
レジェンド
一昨年はそこそこ良い子を出したのに昨年は種魚として使わなかった4歳雄。
雄なら4歳は通常役に立ちません。
それでも追星は出ているし腹を押せばほんのうっすらと白い精子らしきものが出ます。
あと一匹はこの雄で年齢不詳。
自家産には間違いありません。
あまりにも坊主頭なので昨年も種魚候補からはずれていました。
遅くに冬眠明けをさせた舟から出てきた時には泳ぎの良さに驚きました。
この魚なら少なくても尾開きだけは良くなるでしょう。
この魚も追星は出ていますが、精子は・・・・です。
5月3日から5日の間に4匹の雌を産卵させるつもりだったので5月2日にこの二匹の雄にホルモン剤を注射しました。
かなりの体格差がありましたが二匹ともにゴナトロピン500単位を注射しました。
二匹とも3日からの産卵に参加させました。
尾形の良い方の魚は4日の産卵時にバリバリに雌を追って腹を絞るとたっぷりと精子を出しました。
4歳魚は3日から5日の産卵中に雌を追う事は無かったけれど、5日の人工授精では充分な精子を出しました。
4日産卵の仔は尾開きが良く選別を重ねた今もかなりの匹数が残っています。
5日産卵の仔は残している数は少ないですが一匹だけとてつもなく太い魚が出ています。
さていよいよ次回は5月19日の奇跡の産卵です。
投稿者 石原